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CESARE 3


チェーザレ―破壊の創造者3


かつてヨーロッパが放棄した アリストテレスはじめ古代知的遺産のほとんどを
イスラムがアラビア語で伝承し キリスト教世界に還元した事を語り
他の宗教を邪教 他の民族を蛮族と考える 当時のキリスト教世界に於いて
人種や信仰の違いを越え 優れたものに学び
変革してゆく事を肯定するチェーザレ。
この柔軟な思想に 逸早く到達出来たのは チェーザレの資質に加え
ルネサンス直中のイタリアで生まれ育った
800年に渡るレコンキスタで 異文化との融合を
既に経験していたスペイン出身の貴族という
イタリア人でも有りスペイン人でも有る視野の広さ故。

”混在したこの世界こそが神が我らに与えた世界”
と キリスト教聖職者であるが、宗教、人種、言語、、
個々の違いを当然の事と受け止めているチェーザレに惹かれ
その言動を即座に理解吸収し
”真の自由は心の中に存在する”と悟ったアンジェロ。
これから彼の進んでゆく道、表現してゆくものも楽しみ。

前巻から引き続き語られる チェーザレの目指すべき理想
”なぜこの半島(イタリア)は分裂を繰り返す?”と、新たな解決すべき疑問
そして庶子故の答えのない深い葛藤、、、
話の核となるものが出揃ってきたかな。
人を誑し込める程の思想 行動 の魅力に加え
騙し裏切る冷酷さの片鱗も見せ始め 増々目が離せない。

君主論マキャベリ登場。
民衆の視点で君主制と共和制の違い。
スペインの 国土回復運動
ロレンツォ・デ・メディチの力と大陸の均衡。
キリスト教世界での嫡子と庶子。
チェーザレ・ボルジアと ジョバンニ・デ・メディチに大学の学位が必要だった理由。
等、盛り沢山でした。
by hudousek | 2007-05-22 19:35